この記事の目次
インドネシアにおけるイスラム国(IS)等のテロの現状は?
そして日本人の旅行者は本当に安全なのか?
最近は世界的にイスラム国の話題が多くテロや誘拐といった恐ろしい話が普通になってきました。
実際に比較的安全と言われていたアジアにおいても、タイ・インドネシア・トルコと爆弾によるテロが連続して起きています。
インドネシアのジャカルタで起きたテロでは、バリ島が好きで旅行に行きたい人やジャカルタに行く予定の人は不安になっているのではないでしょうか?
私自身も実はバリ島は大好きで過去に2度旅行に行きました。
バリ島の中でも特にウブドゥが好きで、あの神秘的な雰囲気が堪らなく好きなんです。ウブドゥに居るとまさにここが神々の住む島なのではと思えます。
しかしテロという話があると、気軽に旅行で行っていいのかどうかと迷ってしまうのも事実です。
今回はそんなインドネシアの情勢をテロという観点から考えてみたいと思います。
世界中に広がっていくイスラム国(IS)の脅威
イスラム国による日本人拉致誘拐が起きたことで日本人は世界情勢を思い知らされました。
欧米諸国と異なり日本は直接的に被害を受けることが少なかったので余り騒がれてきませんでした。
しかしその実体はイスラム国は欧米のキリスト教国とそれに協力する国に対して過激テロと拉致誘拐を繰り返していました。
日本はその事実を目の前に突きつけられた形になりました。
日本人の誘拐事件は最悪の結末になってしまいましたが、まだ全てが終わったわけではありません。
それはイスラム国は日本を十字軍に参加する敵国とみなしこれからもテロの標的とすることを宣言しているからです。
「これから日本にとって悪夢が始まることになる」とISは明言しています。
これに対して安倍首相は「テロリストたちを決して許さない。その罪を償わせるために国際社会と連携していく」と強く国際社会に訴えています。
これは日本がテロリストに対する日本の方針を宣言したことになりました。
柔軟に身代金に関しても動いているフランス・イタリアとは異なり、如何なる状況でもテロリストとは取引をしないというアメリカ・イギリスと日本は同じ姿勢であることを世界に示したわけです。
日本がイスラム国と敵対することを明確にしたということは、これらからは日本人はテロや誘拐の危険に晒されていると考えないといけないのが現実でしょう。
現在のインドネシアの現状
インドネシアという国
インドネシアとは東南アジアに位置する共和国で大小の島々により構成されている日本と同じ島国で、首都はジャワ島にあるジャカルタです。
国民の宗教の構成は、イスラム教が 88%で次いでキリスト教 9%(プロテスタント 6%,カトリック 3%)となりヒンズー教 1.8%と仏教 0.6%は多くはなく、実際はほとんどの国民がイスラム教徒ということになります。
有名なリゾート地バリ島もインドネシアですが、宗教的には特殊とも言える場所でバリ島の住人の殆どはイスラム教徒ではなくヒンドゥー教徒です。
インドネシアの人口は2億3000万人を超え、世界第4位の国民数の国になります。
近年は世界各地でアルカイーダ・イスラム国が活動が目立つようになりテロリズムが騒がれるようになるとインドネシアは注目を集めるようになります。
それはインドネシアが世界で最も多くのイスラム教徒を抱える国だからです。
中東や湾岸諸国にある国が最大のイスラム教徒を抱える国のようなイメージを持ちますから、これは意外ですよね。
インドネシアとテロリズム
ではインドネシアではテロは良く起きているのでしょうか?
2016年にジャカルタのテロが起きるまでは少し落ち着いていますが、2000年代前半には下のように多くのテロが起こされ多くの犠牲者が出ました。
2002年10月バリ島での爆弾テロ事件
2002年10月のバリ島で路上に止めてある車に仕掛けられていた爆弾が爆発し周囲の建物も巻き込み外国人観光客を含む202名が死亡しました。
2003年8月ジャカルタでの爆弾テロ事件
2003年8月には首都のジャカルタで高級ホテル・マリオットで爆弾が爆発して12名が死亡しました。
2004年9月ジャカルタのオーストラリア大使館爆破事件
2004年9月にはジャカルタのオーストラリア大使館が仕掛けられていた爆弾により爆発して炎上9名の死者を出しました。
2005年10月バリ島の同時多発テロ事件
2005年10月のバリ島における同時多発テロ事件は、バリ島のレストラン3箇所で自爆テロがあり、日本人1名を含む23人が死亡140人以上が負傷しました。
これらの事件は、インドネシアのイスラム過激派組織ジェマア・イスラミアが関わっているとされています。
このインドネシアのイスラム過激派組織ジェマア・イスラミアとはどのような組織なのでしょうか?
ジェマア・イスラミア
インドネシアを活動拠点とするイスラム過激派組織で、目的はシャリア(イスラム法)統治のイスラム教国家の設立です。
1990年代の設立され当初はテロリズムには否定的だったのが、アルカイーダからの影響でテロを手段として用いるようになっています。
しかし幹部の死亡や逮捕により現在の活動は縮小傾向とも見られていて、派手な活動は見られなくなっていました。
ではイスラム国とジェマア・イスラミアやインドネシア関係はどのようになっているのでしょうか?
イスラム国に向かう若者達
ジェマア・イスラミアの活動が沈静化されてテロ自体が収まってきているように見えていたインドネシアなのですが、実態は異なります。
それはイスラム国に東南アジア諸国から多数の若者が「義勇兵」として参加していることが分っているからです。
ジェマア・イスラミアの幹部の1人は、すでに150人以上の戦闘員の若者をイラクやシリア周辺国のヨルダンやパレスチナに送り込んだと言っています。
イスラム国は東南アジアにも多くのイスラム教徒が居ることに目をつけ、東南アジアの過激派組織と連携して戦闘員の募集を活発に行っているのです。
これはインドネシアを中心とした東南アジアの国々には大変な脅威になります。
それは1990年代のアフガン戦争に参加し戦闘技術を身に付けた若者が、母国に帰国した後にその経験と技術を生かして爆弾テロを起こしていった歴史と同じ道だからです。
母国での彼らの行動は、イスラム国への勧誘をしていくこともありえますしや母国でイスラム国の関連組織を設立してしまうかもしれません。
また共に戦った同士が各国に散っていくので彼らのコネクションにより東南アジアに散らばるイスラム過激派組織のネットワークが出来上がっていく可能性が高いす。
今回のインドネシアのジャカルタでの爆弾テロにフィリピンのイスラム教過激派組織アブサヤフが協力していることからも今正に現実のものになりつつあると言えます。
インドネシアを含む東南アジアはイスラム国の出現がアジアの平和維持に関して大きなターニングポイントになってしまう危険性があるのです。
2016年にインドネシアのジャカルタで自爆テロ
そして2016年1月14日インドネシアの首都ジャカルタのスターバックスなどの商用施設を標的とした自爆テロが同時に複数で起き銃で武装した男達と警官隊とが銃撃戦を繰り広げました。
20人以上が負傷、犯行グループ4人を含む8人が死亡しました。
直ぐにイスラム教過激派組織イスラム国(IS)が犯行を認める声明を表明し東南アジアで初めてのISの犯行が明言されたテロとなりました。
犯人はIS系インドネシア人過激派組織指導者で現在服役中であるアマン・アブドゥルラフマン師の指示のもと、実行に関してはバルン・ナイム師が資金調達から指示・実行したと見られていて首謀者としています。
フィリピンで活動するIS系イスラム教過激派組織アブサヤフとは同じ傘下組織として協力関係でもありまた東南アジアでの覇権を掛けたライバル関係でもあります。
本来の今回のテロ計画は年末にもっと大規模な形で行われる予定だったのがインドネシア警察により摘発されたことで準備不足のなかで強行されたものだったのでこの程度の被害で済んだという事です。
インドネシアにおけるテロの現状:日本人の安全のまとめ
日本がテロリストに対する日本の方針を宣言しイスラム国と戦う姿勢を示している以上日本人だけが欧米国とは別扱いで安全という事はあり得ないでしょう。
しかし先進国の殆どは同じ姿勢であり日本より強硬に対応している先進国の方が多いため過敏になる必要はないとは思います。
先ずはその前に日本人は安全に関しては無頓着なところがあり、海外に出る以上日本国内のようには振舞えないということは覚悟した方が良いでしょう。
突然テロに巻き込まれることも有り得るし、日本人というだけで拉致・誘拐という可能性も現実に起こりえるということです。
海外では基本的に自分の身は自分で守るものと自覚して最低限の注意を払いながら行動することはこれからは必要になるのだと思います。
そう考えると日本の治安って本当に素晴らしいですよね。