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バンコクのエラワン廟で大規模な爆弾テロそして第2の爆発も
悲しいことが起きてしまいました。バンコクでの無差別爆弾テロです。タイの南部ではイスラム勢力が独立のために爆弾テロは起こっていたのですが、バンコクでこれほど多くの人間が犠牲になった大規模なテロは記憶にありません。
爆弾テロの現場:ラチャプラソン交差点付近とエラワン廟
爆弾の爆発した場所はバンコク中心部のプルンジッット通り(ラマ1世)とラチャダムリ通りが交わるラチャプラソン交差点付近のエラワン廟と呼ばれるバンコクの人気のパワースポットです。地図で言うと下の場所になります。
このエラワン廟はヒンズー教の寺院で、1950年代にエラワンホテルを建設し始めると事故が多発したために占い師の勧めでヒンズー教の四面体のブラフマー神の像を祭ったところ事故が収まったと言われています。そのために”タンブン(参拝)すれば願いがかなう”と評判となりタイ人は勿論のこと外国人観光客も多く訪れる観光名所となっていました。
家内安全や金銭運・健康祈願などの願いのため日夜を問わず多くの人が訪れる場所でした。また願いがかなった場合には、踊りと音楽で奉納する慣わしがあり、寺院の敷地無いでも舞踊団を頼むことが出来るようにしてありました。エラワンホテルの竣工日の11月9日には毎年大規模なお祭り行われていました。
出典 https://totteoki.jtb.co.jp/detail.asp?articleid=44389
そんなバンコクの平和の象徴のような場所で今回の爆弾テロは起きました、、、、、、
下の動画を見てください。都会の中にあるオアシスのような時間が流れる寺院であるエラワン廟の平和な一時が見れます。
分かっている爆弾テロの現状
8月17日の午後7時に爆弾が爆発しました。ここはバンコクの中心地の中でも高級デパートやショップが立ち並ぶ最もセレブな場所であり向かいには日本人ご用達の伊勢丹もあります。エラワン廟に御参りに来ていた人は勿論のこと、時間帯から考えてもプルンジッット通りには多くの人が行き交っている中での爆発であったことが伝えられています。
現在もまだ情報が交錯していて確定でない情報も多く流されているようなのですが、真意は別にして今伝えられていることをまとめてみたいと思います。
今回の爆弾テロはエラワン廟内と廟前の2カ所で爆発があり更に現場付近に仕掛けられた別の爆弾も2つ発見され警察の爆弾処理班が除去作業を行いました。
爆弾は広場の側に停めてあったバイクに仕掛けられていたという話と道路の石の下に簡易爆弾(IED)が仕掛けてあったという話が出ています。もしかすると2つ爆発があったということなのでどちらも正しいのかもしれません。
タイの警察は公式見解を発表していませんが、地元メディアは中国人とフィリピン人を含む外国人4名を含む20名が死亡し負傷者は約125人以上で、その中には中国人と台湾人が多く含まれているといわれています。JR東日本から東京海上日動の現地法人に出向していた日本人男性(31歳)1名も重傷であることを日本大使館が確認しています。
警察は新たな爆発の危険性を考慮して交差点を封鎖して、軍隊にも現場を固めさせて警戒に当たっています。犯行声明は今のところ出されていないために犯行者の特定はまだ出来ていません。そんな状態ではありますが、プラウィット副首相兼国防相は「タイの経済と観光業の破壊を狙った」と説明しています。
今年2月にはサイヤムパラゴンデパートでも爆弾騒ぎもありましたが、爆弾の威力は弱鋳物であるために警察の見解は「殺傷ではなく混乱を狙った犯行」と説明していました。
バンコク:エラワン廟付近の爆発時の映像
ここから下の動画はどれもエラワン廟付近の爆発現場を映した動画です。緊迫した空気が立ち込めています。
個人が携帯で写真を撮る時代
時代は変わりました。事故現場にはスマートフォンを持った多くの一般人が居て事故現場を写真に収めています。それをまた自分のブログやフェイスブックに載せるので爆発的に早く高品質な写真などが拡散していくようになりました。
下の画面は、フェイスブックにタイ人が載せて説明しています。こんなイメージで事件から1・2時間もすると多くの一般人からネット上に様々なことが書かれていきました。
タイ政府はフェイスブックなどに現場の凄惨過ぎる写真の投稿を控えるようにタイ国民に訴えています。またその写真に問題があると判断した場合にはアカウントの凍結などの措置を取ることになると説明をしています。
タイの新聞は人の死体の写真などを載せることは問題が無いので、今回の政府の発表には違和感を感じもします。
ここから下は基本的には一般人が携帯で撮影した写真です。昔と違いタイムリーな写真が多くあります。下に写真を貼りますので、現場の写真を見てください。実はタイではエグイ写真も普通に報道されてしまうので、あまりに酷い写真もあるので載せるのは止めにしました。それでも少し写っているかもしれません。
外国のメディアも報道
海外のメディアも挙って今回のバンコクの爆弾テロを伝えています。どの国の局の番組でも内容的にはほぼ同じような内容で特別な情報は無いようです。
第2の爆発:BTSサパーンタクシン駅の直ぐ下チャオプラヤー川のサートン船着場
18日の午後1時20分ごろにBTS・スカイトレインのサパーンタクシン駅の直ぐ下のチャオプラヤ川のサートン船着き場で再び爆発がありました。
橋の上から投げた爆弾が運河の中で爆発したものと見られています。幸いなことに死傷者はいませんでした。下の映像にも映っていますが、突然20メートルを超える水柱が立ち人々が逃げていきます。
タイ警察が捜査を続けていますが、使用された爆弾はエラワン廟で使用された爆弾と同じタイプのパイプ爆弾と推定されたため同じグループによる連続爆弾テロである可能性が高いと発表しました。
犯行団体の特定は?
今回の犯人の可能性を疑われているのはいくつかあります。ただしまだ確証となるようなものは掴めていないようです。
赤シャツグループ(タクシン派)
軍事クーデターで成立した現政権が来月の成立を目指している新憲法の内容や民間に政権を返還する選挙の実施が来年にずれ込む可能性に関して不満を持った人間による行いとは考えられなくも無いです。
しかも現軍事政権は明確にタクシンのグループの人間を粛清し続けてもいますから、犯人の最有力の反抗組織候補といえるのかもしれません。
ただし今回の事件に対してタクシン氏は歪曲的ではありますが関与を否定しています。
南部のイスラム過激派
タイの南部3県には多くのイスラム教徒が住んでいて独立を求めタイの政府と対立をしています。南部では死者を出すような爆弾テロも頻発していますが、南部3県に集中していてバンコクでのテロ行為は多くはありません。
タイ南部のイスラム過激派は正式にこの件に関して自分達は関与していないことを発言しています。また自分達が爆弾テロで使う爆弾とは異なる技術で作られたものであることもその根拠として説明しました。
しかしイスラム過激派とはいってもタイの組織に関してはイスラム国系やアルカイーダ系の組織との関係性はないので、飽くまで単独組織の犯行である可能性が高いです。
タイ南部のイスラム過激派は正式にこの件に関して自分達は関与していないことを発言しています。また自分達が爆弾テロで使う爆弾とは異なる技術で作られたものであることもその根拠として説明しました。
ウイグル人過激派
今回初めてテロの可能性を指摘された組織です。実は先月にタイに密入国として拘束したウイグル人を中国に送還しているんです。その時の記事が下になります。
タイ暫定政権は9日、中国新疆ウイグル自治区から逃れて来たウイグル族の一部100人以上を中国に送還したと明らかにした。中国政府が帰国後の安全を約束したからとしているが、国際人権団体などは迫害の恐れが高いと強く批判している。同日未明、この措置に抗議してトルコ・イスタンブールのタイ領事館が襲われた。
タイ政権報道官によると、強制送還は8日夜に行われた。送り返したのは身元調査の結果、中国国籍が確認された者だとしている。タイ当局はこれまで、密入国者として拘束していたウイグル族のうち約170人をトルコ国籍と認定してトルコに移送し、これに対して中国が不快感を表明していた。タイにはまだ50人のウイグル族とみられる人びとがおり、身元調査が進められている。
タイ外務省幹部は中国送還について、クーデターを決行した軍主導の最高機関、国家平和秩序評議会(NCPO)高官から指示があったとしている。対中関係を強めているクーデター体制下で、中国の意向に配慮した可能性がとりざたされている。
出典 朝日新聞
このタイ政府の対応に対する報復としてウイグル人の過激派による犯行を疑っているというわけです。
それと、これにはもう1つ理由があります。それが下の現在捜索中の重要参考人がいるからです。
似顔絵も公開された指名手配の男
この写真の男性を殺人などの容疑者で指名手配として捜索しています。この男性はエラワン廟に座り立ち去る時に大きいバックパックを置いていった姿が防犯カメラに映っていました。その3分後にバックパックが爆発したと見ています。彼はその場からバイクのタクシーで立ち去ったとのことです。
警察はアラブ系の男性として彼の行方を追っています。確かに写真を見る限りタイ人ではなくアラブ系の人種に見えます。ウイグル人と言われても違和感がないのは確かです。
かなりハッキリ写っています。通常だとこのまま逃げ切るのは難しいですが、どうなるでしょか?もしこの人物を捕まえることが出来れば事件の全容が解明できるのではないでしょうか。
タイ警察はこの人物の重要な情報に対して懸賞金(100万バーツ)を支払うとして似顔絵を公開しました。この似顔絵は逃走の際に彼を乗せたバイクタクシーのドライバーの記憶から描かれたものということです。
これが警察が防犯カメラを調べている映像です。確かに大きなバックパックを背負ってきているにも関わらず携帯を弄り不自然にバックパックを置いてエラワン廟を出て行きます。多くの防犯カメラが彼の動きを捉えてます。
ここまでハッキリ映っているのならこの人物が実行犯の1人なのは間違いないので有力な手掛かりですが、こんなミスがあるとテロ組織が彼を処理してしまいそうなのが気がかりです、、、、また彼は事情を知らずにバックパックを運ぶことだけを頼まれている可能性もあると言われています。
イスラム国の関与は
今は世界的にイスラム国が勢力を伸ばしていて、彼らはテロ行為を否定していません。アジアでもマレーシアやインドネシアなどはイスラム教徒が多く住んでいることもありイスラム国の支持者も少なくはありません。しかも上記にあるようにタイの南部ではイスラム教徒が独立運動をしていてテロも行われています。
しかしタイの独立を目指すイスラム教徒の組織はイスラム国との接点は無いと言われているのです。
国外のイスラム国による犯行という可能性もありますが、現時点では関連付けるものは出てきていないようです。ただし指名手配の男はアラブ系外国人と見られていますので、その可能性はゼロとは言えないのかもしれません。
まとめ
時代は変わり国民総ジャーナリスト時代になりました。爆弾テロの決定的な現場の写真なんて1枚2枚しか出ないことも普通だったのに、今や数時間の内にネットに多くの写真がアップされていきます。犯行現場の動画でさえも記録されていますから、本当に時代の移り代わりを感じます。
しかし今回のテロ行為は酷すぎます。このテロの規模は脅しというレベルではありません。確実に数十名を殺害するために計画されたものです。なぜ罪に無い一般市民を犠牲にしなければいけなかったのでしょうか?
本来でいえばエラワン廟は平和の象徴のような場所だったのにまるで地獄絵図のようでした。無差別の爆弾テロを行うなんてどんな理由があっても許されることではありません。
軍事政権になり少し情勢も落ち着きタイも平穏な日々を取り戻していたのに、こんなことになってしまって本当に悲しいことです。
1日も早くこの事件を解決して貰って、バンコクを従来通りの安全な街に戻して貰いたいものです。