この記事の目次
国民健康保険や健康保険は、海外での医療行為でも使えます
海外での病気や怪我による治療行為は、全額負担になってしまうために高額になります。
特に入院や手術といった時には、何百万円も支払うことになるのも珍しくありません。
日本国内においては、健康保険証を使えば医療費の3割負担で、全国どこの病院でも治療をしてもらえますよね。つまり7割の部分に関しては加入している健康保険から補われています。
このために病院で自己負担分として払う治療費は、日本国内では高額にはなることはなく、本当に素晴らしい制度といえます。
嘗ては外国での治療は適応外としていましたから、全額自己負担が常識でした。しかし今は改定されて海外療養費制度が出来ました。
今回は、この健康保険の海外療養費制度を見てみたいと思います。
国民健康保険の海外療養費制度とは何なのか?
海外療養費制度とは、国民健康保険に加入している方が、海外旅行中や海外赴任中に海外で急病や突然の怪我などにより、やむを得ない状況で現地の医療機関で治療をした場合に適用します。
帰国した後に、海外療養費の申請して内容が審査に通れば、一部医療費(自己負担分を除いた診療費用分)を海外療養費として払い戻しをする制度です。
国民健康保険の海外療養費制度の給付の範囲
この制度の海外療養費の給付対象になるのは、日本国内で保険診療として認められている医療行為に限られます。
そのため日本国内で保険適用となっていない医療行為や薬が使用された場合は、給付の対象になりません。
代表的なので言えば、歯のインプラントや目のレイシックや癌の認定外の抗がん剤などですね。
それを許したら皆んな海外に行って治療してこようという話になってしまいますからね。
対象外となる医療行為の例
具体的に海外療養費の給付対象外となる医療行為を見てみましょう。
- 美容整形手術
- 健康保険適用外の材料を使用した歯の治療
- 歯列矯正
- 不妊治療
- 性転換手術
- 臓器移植などの初めから治療を目的として海外へ渡航されたケース
突発的な治療行為ではないですから、対象じゃなくても仕方ないと納得できる内容ですよね。
海外での妊娠・出産でも健康保険は使えます
ちょっと意外というか、対象外になりそうなイメージなのに大丈夫なのは出産です。
実際の出産のために掛かった費用は当然かと思うのですが、妊娠・出産費の出産育児一時金を受理することが可能です。
海外旅行中に突然の出産なんてケースは余りないでしょうが、海外に長期滞在中であれば可能性はあるでしょう。
海外の治療でも高額療養費も支給対象になります
高額療養費制度とは、1ヶ月間に一定額以上の医療費を縛らうケースでは、その超えた金額を支給する制度です。
つまりはその一定額以上の高額の支払いは事実上負担しなくて済むということです。
例えば平成30年8月以降であれば、一定額は87,430円となり自己負担額はこれ以上は必要ありません。
ただし注意点は海外の治療費を日本で治療を受けたケースに当てはめて計算をしなおしますので、高額療養費として支給される額は日本での治療を受けられた場合と同じになります。
これは本当に大きなメリットです。
海外での医療費は何百万円にもなるケースは普通にありますから、支払いの上限が決まっているという日本の健康保険制度の最大のメリットを受けれるのは嬉しいですね。
国民健康保険の海外療養費制度を利用した際の支給金額
同じ病気で日本の国内の医療機関で同等の医療行為の治療費を基準に計算した額から、自己負担額を差し引いてを支給します。
ただし実際に海外で支払った額の方が低いケースにおいては、海外での支払い額を基準とします。
日本と海外の各国では医療体制や治療方法等が異なることから、海外で支払った総額から自己負担相当額を差し引いた額の実費と支給金額が大幅に異なってしまうこともあります。
ここがちょっと問題点というか注意が必要な点なんです。もし海外で支払った治療費が法外に高額な金額であったりした時には、この治療行為を日本で治療を受けた時の金額に再計算して試算します。
そしてその日本での金額をベースとして支払額を計算するんです。これにより実際に支払った治療費より大分少ない額しか戻らないことがありえるということです。
ただ治療を受けた時に日本の自由診療の治療費額との差を理解できる人なんて、医療従事者ぐらいしかいないですよね。
この点の対応は現実問題では海外旅行保険に加入するか、自己負担を覚悟しておくかのどちらかしかないと思いますね。
国民健康保険の海外療養費制度の支給方法
帰国後に健康保険の窓口に書類を提出して申請をすることになります。
ただし書類の不備などをしないために、健康保険窓口に提出書類や注意事項を確認しておきましょう。
保険組合や市町村により書類のフォームは異なるためあらかじめ申請書類を貰っておいても良いかもしれません。
お上の対応として、ちょっと話が逸れますが、私も驚かされたことがあります。
国からの支給額が多過ぎて、こちらから返金を申し出たことがあります。その時にも驚きの対応をして貰えました。
窓口の担当者の話では、その返金となる公的書類を取り付けた上に、翻訳書を作成して返金申請書類を添えて提出しないとお金の返金は出来ませんよというぶっきらぼうな回答でした。
しかも当然ですが、公的書類の発行や翻訳の費用も自己負担してくださいとのことです。
、、、、、、、なんで、お金を返してあげるのに自己負担をして書類をこちらがそろえないといけないのですかね?
海外療養費制度の請求可能期間
海外療養費制度の請求対象となるのは、支払いが生じてから2年以内となっていますので注意しましょう。
海外療養費制度の支払いが厳しくなっている?
実は昔と比べると海外療養費制度の受け取りが難しく、審査が厳しくなっていると言われています。
これはある事件が騒がれたことによると言われているんです。
それがモデルでマルチタレントのローラの父親の事件です。ローラが涙ながらに謝罪をして好感度を逆に上げたあの事件です。
ローラの健気な姿を覚えている人も多いのではないでしょうか?その事件の内容は以下の様になります。
バングラデシュ人のジュリップ・エイエスエイ・アルによる詐欺事件
ローラの父バングラデシュ人のジュリップ・エイエスエイ・アル容疑者は、知人の調理師がバングラデシュで1カ月入院したというウソの診断書を区役所に提出して海外療養費約87万円を受け取ったというモノです。
更に自身もバングラデシュでデング熱で入院したと虚偽の申請をして、多摩市役所から海外療養費約100万円を受け取ったというモノです。
またこれ以外にも彼の指導するグループで、組織的に同行為が行われ1000万円以上の被害を出したとしてインターポール(ICPO)に国際指名手配され逮捕された事件です。
国民健康保険は海外旅行や海外移住での医療行為でも使えるのかのまとめ
どうでしょうか?海外に移住したりロングステイされている方でも、住民票を残して健康保険はそのまま持っているという人もいると思います。
この様に海外旅行保険と比べると、明確なメリットとなる点もいくつかあります。
- 支払いに対する上限がない
海外旅行保険では支払限度額を上げると保険料は高額になりますから、支払額の上限がないことは本当に助かります。
- 引き受けに関して断られることがない
海外旅行保険は過去の支払い歴や年齢によって引き受けを断られることがありますので、加入できることだけでも大きなメリットです。
- 慢性疾患つまり持病も対象となる
持病に関しては海外旅行保険は対象外としますから、特定の病気を持っている人には健康保険は非常にありがたいものです。
- 歯科医療も対象となる。
日本の歯医者でも健康保険の対象外となるインプラントや高額なクラウンなどは使えませんが、通常の虫歯治療などは対象となります。
急に歯が痛くなることもありますからね。
この以上の点は海外療養費制度が使えるメリットですね。
それは、、、、、、申請を忘れずにしましょう!
海外で病気になって医療費を使った場合は、この様な形で申請できますので申請を忘れずにして、治療費を返金して貰えるようにしましょう。
自分が知らないで申請しなければ受け取れませんので、少なくとも病気になって治療費の支払いが生じた時には思い出すようにしてください。